新海誠監督作品 映画 「天気の子」 見てきました。「君の名は」から3年、新海誠監督の知名度もうなぎのぼりで全国的に期待が高まってました。
いい意味で期待を裏切られました。
今までの新海誠作品の延長のようでそんなことはない。「君の名は」に少しの砂糖と厨二心を加えて、更に煮詰めたような甘ったるさを感じました。監督自身がインタビューで「君の名は」以上に賛否両論が起こると期待している、という趣旨の発言があったように、今後色々な視点からの意見や考察が飛び交うことになると思います。
以下ネタバレを含む感想です。
序章 龍が如く 高校生編
僕の名前は森嶋ほだか。伊豆諸島の神津島に住む高校1年生。「島暮らしが息苦しい」という理由で家出して島を飛び出した。困った時はYAHOO!知恵袋に聞けば大丈夫!新宿にたどり着いたはいいけど金はすぐ無くなるし誰も助けてくれないし。やっぱり東京って怖いところだわ……。
いいや無謀な家出計画!厨二病ならぬ高一病なの?大人しそうな顔して、ありあまる行動力でトラブルに自ら突っ込んでいくタイプなの?
私の名前は天野陽菜(あまのひな)。東京に住む17歳。お母さんが死んじゃって今は弟と二人暮らし。最近マックのバイトをクビになっちゃって新しいバイト探し中。実は内緒の特技があって祈るだけで天気を晴れにできちゃうの。でもこれじゃお金は稼げないしねぇ……。そんな時、新宿にいた怪しいお兄さんの紹介で稼げるバイトが見つかったの!これで弟とも離れずに暮らせそう!
ケータイ小説から出てきたの?マックの次のバイトが水商売なの?
大げさに書いたのではなく本当に上記の設定で物語が始まります。正直、前半から中盤まではツッコミどころが多くて「うへぇ…」と思ってしまいました。が最終的に最後まで見てよかったと思ってます。
東京の風景をこれでもかと魅力的に描く
新海誠作品の魅力のひとつですね。東京にあこがれを持つ人たちが思い描いている東京だったり、ゴミゴミした東京だったり、リアルな東京を映像化している。
六本木ヒルズの屋上で花火を見るシーンが素敵でした。
圧倒的ファンタジーを圧倒的現実世界で描く
私がこの作品をみて一番感じたことは、天気の子は圧倒的に現実世界の物語であるということ。宣伝も兼ねているのでしょうが、公開前からタイアップcmが多数放送されていたのもその理由の一つかなと思いました。
単にアニメの中のキャラクターということではなく、私たちと同じ世界で同じサービスを享受している人間であることを印象づけるという目的があったのではないかと。
♬ RADWIMPS|SoftBank TVCM 映画「天気の子」コラボ『雨が好き』篇(30秒)
本編でもこれでもかと実在するメーカーの商品が登場します。マクドナルド、サントリーの飲み物、日清のチキンラーメン、湖池屋のポテトチップスなどなど。
そして上でも書いたように舞台は東京。実際に存在する場所・建物・看板をそのまま切り取った姿を舞台にして物語が展開していきます。公開直後から話題になっていた「バニラ」の求人カーも新宿という歓楽街をよりリアルに印象づけるアイテムだったのかもしれません。
映画の中で実在するメーカーの商品が出てくると、なんとなく興ざめするというか、「スポンサーの商品なのかな」とか余計なこと考えてしまい、現実に引き戻されることがあるのですが、それとは逆です。
舞台から小物まで全てが現実世界に存在するものでできている。それはもう現実世界とかわらなくて、そこに存在する「天気を操る子供」というファンタジーが、この作品をよりファンタジー作品として加速させる。そんな相乗効果を感じました。
設定が突拍子も無いとか、主人公陣営が犯罪しまくりじゃないかとか、難しく考えながら観る必要はない。だってこれはファンタジーなのだから。
ほたかが陽菜のために頑張る。陽菜がほたかの為に頑張る。それでいい。
クライマックスもいいけど後日談が好き
上映時間の8割ほど過ぎたところで物語のクライマックスを迎えます。残りの時間は3年後の後日談の話です。ご都合主義かもしれませんが、ファンタジーなんだから終わりよければ良いと思います。
あとRADWINPSの曲が全編通してよかったです。
君を大丈夫にしたいんじゃない。君にとってのだいじょうぶになりたい。
「大丈夫」という曲の歌詞です。シーンも相まって泣かされました。